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シベリウス 交響曲第2番 (4/10更新) [音楽]



Sibelius Symphony No. 2 in D major, Op. 43
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst, conductor
February 2017, Miami Knight Concert Hall

(4/10 更新 オンデマンドになりました。こちらのリンクから是非どうぞ!! )

今シーズンは、シベリウスの交響曲第2番で幕を開けた。クリーヴランド管のシベリウスの2番といえば、ジョージ・セルが指揮した来日公演の録音が有名だ。質実剛健できりりと引き締まった響きは、いちど聴いたら忘れられない。ヴェルザー=メストがシベリウスの交響曲...?ちょっと想像がつかなかったのだけれど、先日のマイアミ演奏会は、"another great performance"と言うにふさわしい名演だった。セルとはまた違った、目の覚めるような素晴らしいシベリウスだったのだ。

個人的にシベリウスは、ヴァイオリン協奏曲やピアノの小品を聞く程度だったので、手始めにプログラムノートを読んでみた。ベートーヴェンやブラームスと同じく、「まずは音楽ありき」の人であり、音楽に物語性を持ち込まない作風らしい。交響曲第2番には、同じニ長調のブラームスの2番のような開放的な雰囲気がある。休みなしで演奏される第3楽章から4楽章の盛り上がりは、ベートーヴェンの第5番を彷彿とさせる。

ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの演奏は、水面に浮かんだ花びらをそっとすくうような繊細さが特徴的だ。第1楽章の冒頭。さざなみのような弦の調べに続くオーボエの旋律を聴いた時、心の深いところが震えるような感覚に襲われた。えっとこれは、録音だよね?と自問したほどだ。弦と木管、金管が見事にブレンドされ、匂い立つような美しい響きを作り出している。何と抑制の効いた爽やかな音色だろう。弱音へのこだわりというのだろうか、ちょっと他では聴いたことのないような優美な響きで迫ってくる。

第2楽章では、独特の厚みと潤い、堅牢さとしなやかさを兼ね備えたクリーヴランドの弦と金管が凄みを増す。月に照らされながら闇の中をさまようかのような陰鬱なイメージを、非常に力強い響きで体現する。一方で、甘美な第2主題に添えられるフルートの繊細な響きには、またしても心が震える思いがした。

第3楽章。オーケストラが、氷上を舞うスケーターのように勢いよく駆け抜けてゆくのが実に気持ち良い。ワルツが得意なヴェルザー=メストらしさが全開の、スピード感があって颯爽とした響きだ。いったん静まって始まる長閑なオーボエの音色は、無垢な美しさを湛えていた。
歓喜の第4楽章。ヴェルザー=メストは巧みに情感を付けながら、オケをぐいぐいと牽引する。精神が瑞々しさを取り戻してゆくかのような高揚感に、この上ない幸せを感じるフィナーレだった。


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メンデルスゾーン 交響曲第4番 イタリア [音楽]

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Mendelssohn Symphony No. 4 in A Major (“Italian”)
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst, conductor
March 2017, Miami Knight Concert Hall

メンデルスゾーンの交響曲第4番は、空が桜色に染まる季節にふさわしい晴れやかな曲だ。今シーズンのマイアミ演奏会は、オールイタリアンプログラムで幕を閉じた。メンデルスゾーンをはじめ、ヴェルディのオペラから抜粋したバレエ曲、レスピーギのローマの松、いずれも佳い演奏だった。来季からマイアミレジデンシーは大幅に削減されるらしい。経営戦略上、やむを得ないのかもしれないが...残念すぎる。

ヴェルザー=メストとクリーヴランド管の演奏は、いつも録音であることを忘れさせる臨場感がある。普段は硬派なクリーヴランドの弦が、ウィーンフィルのような艶やかさを醸し出す。曲全体に瑞々しく淡い芳香が漂う雰囲気だ。ヘッドフォン越しの活き活きと弾む弦の響きに、心が浮き立ち頰が緩む。冬の時代を終え、春を感じたい。太陽の光は少し眩しすぎるのだけれど、流麗な音楽の調べに身を任せていると、ふわふわとした夢見心地の気分になる。そう、本当に春になったのだ。季節の春というだけでなく、心の中にも春がやって来た思いがした。

ヴェルザー=メストは、昔からメンデルスゾーンを得意とする。フォルムのきっちり整った演奏は、ロンドンフィルとの録音と変わらない。気のせいかもしれないが、ベートーヴェンやブルックナーと同様に、以前よりも”体温”を感じさせる。第1楽章と第4楽章での、溢れんばかりのエネルギーは昔の録音では見られなかった気がするのだ。何かに駆られるようなあのパッションは、メンデルスゾーンでも健在だった。

今回の演奏で特に気に入っているのは、第2楽章と第3楽章だ。儚げな美しい旋律なので、誰が演奏してもそれなりの形になるだろう。細部の繊細な表現に、ヴェルザー=メストらしさがよく出ていると思った。今にも崩れ落ちそうな脆く翳りのある弦の響き。ときおり顔を出す柔らかな木管の音色は、桜の淡いピンク色を連想させる。聴いているうちに、じんわりと胸の奥が締め付けられた。


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