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リスト 交響詩第4番「オルフェウス」 [音楽]

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Liszt Symphonic Poem No. 4, Orpheus
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst
Subscription concert: May 14, 2016, Severance Hall
(オンデマンドは9/19まで


5月14日の定期演奏会は、リストのオルフェウスとバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番、メインは弦チェレという大変地味なプログラムだった。セヴェランスホールの聴衆のレベルは非常に高く洗練されているので、音楽監督の演奏会には意欲的な曲目が並ぶ。一見渋いプログラムに見えるが、後日放送されたヴェルザー=メストのインタビューを聞いていると、大盛況だったようだ。凄いなあ。馴染みのない演目でもセヴェランスホールは満席というのだから。


薄明かりの中に佇むオルフェウスの登場をイメージさせる印象的なハープの旋律で曲は始まる。続く艶かしいチェロの音色、それを受けてオーボエが嫋嫋とした音色で応える。未知の世界に足を踏み入れたような感覚になる不思議な音楽だ。なるほど、プレビューでヴェルザー=メストが、美しい世界に魅了されると力説したのも頷ける。瞬く間にその瞑想的な世界に惹きつけられた。曲の改訂を繰り返していたリストだが、この作品は直感で書き下ろした後は手を加えることがなかったそうだ。超絶技巧のイメージが先行する作曲家の、新たな一面に出会った。

中間部のヴァイオリンソロの艶かしい響きが、この上なく素晴らしく、竪琴を持って佇む高貴なオルフェウスを想起させる。フルオーケストラになり迫力を増してゆき、金管が力強く主題を奏でる。幽玄的な世界に誘われた後、曲は静かに終わる。


ため息の出るような甘美な響きに酔いしれた。オルフェウスを聴いていると、琴座神話が好きでプラネタリウムに通い詰めていた子供の頃が、自然と蘇ってくる。同じ話を何回見に行ったかわからない。ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの演奏会を通して、また一つ好きな曲が増えた。


WCLVの放送予定がアップデートされている。夏の音楽祭とツアーが終わり、今月末はいよいよ16/17シーズンの開幕だ。

ベートーヴェン交響曲第7番 [音楽]

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(The Cleveland Orchestra Story P. 480)


Christoph von Dohnányi
The Cleveland Orchestra
(recorded on September 20, 1987, Masonic Auditorium)


長月。新しい月の始まりに、ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラのベートーヴェン交響曲第7番を聴いていた。澄み渡る秋空のような透き通った響きと躍動感、終楽章の疾走感が素晴らしすぎて、もうため息しか出ない…。


個人的にベートーヴェンの7番について、ヴェルザー=メストの演奏と双璧をなすのがドホナーニさんの録音だ。 先月、AKGのN20というイヤフォンを購入して以来、お気に入りの録音をこのイヤフォンで聴き直している。とりわけドホナーニさんの演奏は、N20のおかげでますます輝きを増しているかのよう。あれもこれもと聴いてしまう。

テラークの録音技術の高さは、素人の耳にもよく分かる。ストレートで奥行きがあり、迫力のある低音、ティンパニの透徹な響き、まるで目の前で演奏しているかのような臨場感あふれる音質が秀逸だ。


ベートーヴェンの7番は、名曲中の名曲だから、誰が振ってもある程度サマになるけれど、好みの演奏を見つけるのは容易ではない。
ドホナーニさんの7番は、燃え上がるような熱演とか、熱狂的というのとは少し違って、まずその引き締まった造形美に魅了される。 天高くそびえる西日本最高峰の石鎚山の山頂を連想させる、均整のとれた姿。あまりに完璧すぎて、最初は近寄りがたく感じるかもしれないが、じわじわと増してゆく高揚感が実に心地よい。英語で言えば”majestic”の一言に尽きる。マラソンで先頭集団に属し、狙ったタイミングでスパートをかけることができるような、確かな技術と余裕さえ感じられるのだ。


ヴェルザー=メストが築き上げた現在のまろやかなサウンドはもちろん好みだが、ドホナーニさん時代のきりりと引き締まった淡麗なブラスセクションを無性に聴きたくなることがある。セヴェランスホールではなく、クリーヴランドマソニックオーディトリアムの音響の効果もあるかもしれない。


第1楽章。冒頭の和音はクリーヴランンド管らしい強靭さと優雅さを備えた心地よい響き。舞踏的で明るい曲というだけではなく、長らく続いた冬の時代がようやく終焉を迎え、光の指す方向に向かって歩みはじめるかのようなイメージが浮かんでくる。生きることへの肯定感を高らかに歌い上げるベートーヴェンの音楽を、ドホナーニさんは、凛とした雰囲気でぐいぐいと進めてゆく。厚みのある弦の響き、アクセントの効いたブラス、清澄な木管、しっかりと主張するヤンチッチさんのティンパニ。各パートが絶妙にブレンドしあって美しい響きを作り上げる。ほどよい重厚感を保ちながら、あくまでもクリアなサウンド。特定のパートを際立たせるとか、小手先の技術でどうこうすることはない。ドホナーニさんの手にかかると、埋もれてしまう楽器がないのだ。

荘厳な雰囲気で始まる第2楽章も、非常にバランスのとれた響きで進んでゆく。打って変わって、弾むようなメロディが印象的な第3楽章。畳み掛けるように駆け抜けるのではなく、節度を保った演奏だ。最終楽章。狙いを定めたようなきりっとした弦が出色で、この上なく素晴らしい。ここでもティンパニとブラスをしっかりと響かせ、重心は低めながらも颯爽とした印象を与えている。どこか涼しげな表情を残しながら、白熱の演奏でフィナーレを迎える。


現在ドホナーニさんは療養中で、夏のタングルウッド音楽祭も降板した。
白内障の術後の経過が良くないのか、年内はお休みするとのこと。
来シーズンは元気な姿でクリーヴランドに戻ってきてほしい。未完成と大地の歌が楽しみでならない。


Youtubeのウィーンフィルとのベト7は、それほど良さが出ていません。是非クリーヴランドとの録音を!!


Beethoven: Symphonies Nos.1.2.5&7

Beethoven: Symphonies Nos.1.2.5&7

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Telarc
  • 発売日: 2009/04/28
  • メディア: CD



Symphonies 5 & 7

Symphonies 5 & 7

  • アーティスト: Ludwig van Beethoven,Christoph von Dohnányi,Cleveland Orchestra
  • 出版社/メーカー: Telarc
  • 発売日: 2003/10/28
  • メディア: CD



シューマン 交響曲第2番 [音楽]

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Symphony No. 2 in C major, Op. 61
Franz Welser-Möst
London Philharmonic Orchestra

シューマンの交響曲第2番は、若いころからヴェルザー=メストが得意としている曲だ。ロンドンフィルを率いて登場したザルツブルク音楽祭での演奏は絶賛され、その後もチューリヒやクリーヴランドで繰り返し取り上げている。EMIの録音は、現在廃盤となっているが、NaxosやApple Musicで聴くことができ、中古でも比較的安価な値段で入手可能だ。


混沌としてわかりにくいとか、地味だの分裂気味だのと言われる第2番も、ヴェルザー=メストの手にかかると、エメラルドグリーンの流水のような瑞々しい音色で聞かせてくれる。シューマンの音楽が持つ夢想的で情熱的な側面を、気負わずに自然体で表現しているのだ。シューマンは「私はこの交響曲を、まだ半分病気の状態で書きました」と書き残している。躁鬱の症状を繰り返しながらの作曲ではあったけれども、ヴェルザー=メストとロンドンフィルの演奏は、そういった負の部分を感じさせず、色彩豊かな音楽として燦然と輝いている。


第1楽章。暗闇を彷徨っているかのような序奏の後、力強い第1主題が表れる。さらさらと流れるような弦の響きが、儚く消えてゆく今という時間を感じさせるかのよう。ロンドンフィルも一糸乱れず、素晴らしいアンサンブルで応えている。軽やかに飛翔する旋律の繰り返しが心地よい。

第2楽章は、抑制の効いた繊細な弦の響きで始まる。しなやかなで舞踏的なヴェルザー=メストの音楽作りはこの頃からだ。第3楽章。淡々として深入りせず、さらりと聞かせる。ここはもう少し深みがほしかったかな。

開放感のある祝祭的な第4楽章が始まると、いつも思うことがある。
シューマンは「人間の心の深奥へ光を送ること、これが芸術家の使命である」という有名な言葉を残した。確かにシューマンの音楽は心の中を照らしてくれるのだけれど、暗闇の中から光の方向へ歩いてゆくのは自分自身なのだ、と。
儚く消えてゆくこの瞬間を愛おしく思わずにはいられない。


最近のクリーヴランドでは、10/11シーズンで4番を取り上げていた。是非とも今のヴェルザー=メストの2番を聴いてみたい。
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2016 平和の夕べコンサート [音楽]

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シューマン ピアノ協奏曲
ブルックナー 交響曲第9番

指揮:マティアス・バーメルト
ピアノ:萩原麻未
管弦楽:広島交響楽団

明日の原爆の日を前に、広島交響楽団の平和の夕べコンサートへ行ってきました。
ソリストが地元出身の萩原さんですので、チケットは完売です。


萩原さんを生で聴くのは、4年前のラヴェルのト長調協奏曲以来2回目です。シューマンのピアノ協奏曲は、溢れんばかりの情感、憂い、希望といった様々な感情が交錯するロマン派を代表する曲です。ピアニストによって随分と印象が変わります。迫力のあるリヒテル、抒情性に富んだルプー、1月のアンスネスの幻想的なタッチも良かったなあ。普段からよく聴きますが、実演は今日が初めてなのです。ドキドキ。
萩原さんの演奏は、フォルテでの力強い堂々たるタッチに何度もハッとさせられました。時折椅子から身を乗り出して、全身で弾いているように見えたのですが、決して音が濁らずクリスタルな響きです。曲の持つメランコリックな雰囲気よりも、芯の通った凛々しいタッチが印象に残りました。


後半はブルックナーの交響曲第9番。指揮者のマティアス・バーメルトさんは、ジョージ・セルに弟子入りし、マゼール時代のクリーヴランドオーケストラで常任指揮者を務めた経験があるとのこと。指揮姿は控えめで最小限の指示だけを出しているように見えるのですが、恣意的なところがなくて、音楽がよどみなく流れてゆきます。芳醇なブラス、流麗で分厚い響きの弦を遠い席でも十分に堪能できました。


演奏後、バーメルトさんは指揮台の上で暫く黙祷を捧げ、ホールは厳かな雰囲気に包まれました。
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広島交響楽団 第361回定期演奏会 [音楽]

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<曲目>
シベリウス:悲しきワルツ Op. 44-1
(逝去されたヴァイオリン奏者、津田芳樹氏への献奏)

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26
シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D.759「未完成」
アンコール
シューベルト:イタリア風序曲第2番ハ長調 D.591

ヴァイオリンソロ&コンサートマスター:フォルクハルト・シュトイデ
管弦楽:広島交響楽団


このたび、ウィーンフィルのコンサートマスター、フォルクハルト・シュトイデ氏が、広響のミュージック・パートナーに就任しました。シュトイデ氏は過去2回広響に客演し、指揮者なしの演奏会を行い、信頼関係を深めています。ウィーンフィルの来日公演で、副コンマス席に座っている姿は拝見したことがあるけれど、今日のように近くで演奏を聴くのは初めてです。


1曲目の悲しきワルツは、6月6日に逝去された津田芳樹氏への哀悼の演奏です。しめやかに演奏が終わると、全員で黙祷を捧げました。


2曲目はブルッフのヴァイオリン協奏曲。シュトイデさんは弾き振りをするわけではないので、いったいどうやって協奏曲をまとめるのだろう・・・と、素人ながら疑問に思っていたのです。シュトイデさんがソロパートを弾いている時は、コンサートマスターの佐久間さんが、拍子を取りながら全体をまとめ、それ以外の時は、シュトイデ氏が指示を出す、といった感じです。シュトイデさんのステージマナーはとても控えめなので、引っ張っているというよりも、「さあ、みなさん、一緒に演奏しましょう」という姿勢です。以前来て下さった安永徹さんに通じるものがありました。素敵!


シュトイデさんは、速めのテンポでしなやかに楽器を鳴らします。普段聞いているギルくんやミンツさんに比べると、とっても速く弾くのですが、歌うところは十分に歌い、甘すぎない美音で変幻自在の演奏でした。佐久間さんのリーダーシップで、オケとのバランスも素晴らしく良かったと思います。


メインはシューベルトの未完成。コントラバスとチェロの低弦の響きを聴くだけで、身震いいたしました。こちらもテンポ良く、抑制の効いた秀演でした。
アンコールには、シューベルトのイタリア風序曲第2番。耳馴染みのよい明るい曲想です。奏者さんが愉しそうに演奏するのを見ていると、こちらの気分まで明るくなりますね。清々しい心持ちで会場を後にすることができました。



Triumph debut [音楽]

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ブルックナー交響曲第7番
フランツ・ヴェルザー=メスト指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
(写真はオーケストラHPより)

オンデマンドはこちらから。


2月にキャンセルをした時はどうなることかと随分不安になりましたが、このたびブルックナー7番でコンセルトヘボウ管へ晴れてデビューです。Congratulations! 色々な意見があるでしょうが、私はTriumph debutだと思っています。今後も定期的に客演の機会があることを願わずにはいられません。


控えめな佇まいながらも、外野に振り回されず我が道をゆくヴェルザー=メストの気概が充溢した演奏でした。揺るぎない自信と真摯さが同居し、自然な高揚感を持った音楽の流れが実に気持ち良く感じられます。素材の良さを最大限に生かした懐石料理を食しているような感覚です。


ヴェルザー=メストのブルックナー7番は、グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団、クリーヴランドオーケストラとの録音で聴いています。何も変わったことをしているように見えないのに、聴き終えた後の充足感はブルックナーでも同様です。年々その自然体の解釈に説得力が増しているようにも思えます。


短期間でマエストロの要望に応えたコンセルトヘボウ管はやはり上手いですね。特にブラスセクションが素晴らしかった。第3楽章のトランペットのソロ、気品があってまろやかな音色が、クリーヴランドのマイケル・ザックスさんと同じ路線でした。厚みのある弦は、滑らかながらも重心が低く、程よい重厚感があります。クリーヴランドの弦がしなやかに歌うのは、ヴェルザー=メストとの長年の共同作業の結果なのだという点も再認識しました。


このブログを読んでくださっている方ならお気づきかと思いますが、私にとっては、ヴェルザー=メストとクリーヴランド管が紡ぎ出す音色が、他では代用がきかないレベルではあります。今回も最初はそれほど心が踊らない・・とも思ったのですが、いやいや撤回いたします。オンデマンドが終了するまで毎日聴きそうな勢いです。


次は5月7日に、バイエルン放送響との演奏会がBR-Klassikで放送されます。お見逃しなく!
(4/30 健康上の理由でキャンセルになりました。)


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Per aspera ad astra [音楽]

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2013年のFate and Freedom Festival のベートーヴェン交響曲第5番、偶然にもスペインのCatalunya Música局でオンデマンドになっており、27日まで聴けるようです。こちらのブログで紹介されています。音質はWCLVの方が良い気がしますが、せっかくですので是非!


"One way to purify the human spirit was going through fire," the conductor explained. "Those four notes have to be played not heavy and pounded into the ground. . . . They have to be played like fire."
(「試練を乗り越えるという行為は、精神を浄化させる一つの方法です。」「冒頭の4つの音符は、重々しく地に鳴り響くように演奏するのではなく、燃え上がる炎のごとく演奏されるべきなのです。」)
2015年、マイアミにて。


久しぶりに聴いたヴェルザー=メストの運命。聴き終わった後の清々しさ、清澄感あふれる響きがやはり良いですね。


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ノーベル賞コンサート [音楽]

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3/3、19時半からNHKFMで2015年のノーベル賞コンサートが放送されます。


ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第3番
喜歌劇 こうもり 序曲 (ダニール・トリフォノフ編曲)
リヒャルト・シュトラウス 交響詩 英雄の生涯 

ピアノ ダニール・トリフォノフ
管弦楽 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 フランツ・ヴェルザー=メスト


冒頭のヴェルザー=メストのスピーチはさすがにカットされるかな。素敵な言葉だったので、(昨年のスウエーデンラジオで聞き取れた範囲で)ご紹介します。


芸術は単なる娯楽ではなく、人生を反映したもの
“Art is something (where) we can find our identity. Because art is very much about the reflection. It's not just a pleasure. It's actually much more the reflection on life. The piece we're going to play now (Ein Heldenleben) is not just the sort of portrait of a hero, it's a reflection on life." (中略)
“Music can say something which goes beyond what we call reality.” said Franz Welser-Möst in the 2015 Nobel Concert.


ノーベル賞本家のサイトにはまだアップロードされていないのですが、YouTubeには篤志家さまがテレビ放送をアップしてくださっています。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番




R. シュトラウス 英雄の生涯




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ヘルムヒェンのシューマン [音楽]

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(先週岡山で撮影した梅)


Schumann: Piano Concerto in A minor, Op. 54
Piano, Martin Helmchen
San Francisco Symphony
Yan Pascal Tortelier
2013/10/16
(オンデマンドは2016/2/15まで。)


ヘルムヒェンは、2011年にドホナーニさんの指揮でタングルウッド音楽祭に登場して以来、北米でも着実にその存在感を増している。2013年には、サンフランシスコ交響楽団にシューマンのピアノ協奏曲でデビューを果たした。私が彼のピアノを聴き始めたのは、2014年のパリ管からなので、ファン歴はとっても浅い。サンフランシスコ響も時々放送をチェックしていたのだけれど、残念なことにこちらの演奏会はスルーしていた。まさかオンデマンドになるとは予想していなかったので、嬉しい限り。ヨーロッパや北米の放送局は、過去の演奏会も時々放送してくれる点が良いなと思う。できれば2011年のタングルウッドデビューのシューマンも聞いてみたい。なんといっても伴奏がドホナーニさんですから。昨秋もドホナーニさんとフィルハーモニア管の伴奏で、シューマンを演奏していた。


ヘルムヒェンのシューマンについては、PENTATONEのCDや、ブランギエ指揮&チューリヒ・トーンハレ管弦楽団との演奏会のエアチェックを繰り返し聴いている。トレードマークはなんといっても、第3楽章の冒頭だろう。こちらのインタビューによると、第3楽章にはこだわりがあるらしく、早めのテンポで颯爽と駆け抜けるのは好まないようだ。ゆったりとしたテンポと強靭なタッチ。好き嫌いが分かれるところだと思うが、実に意欲的な解釈だと思う。


いつもながらの粒立ちの良い響きと溢れんばかりの瑞々しさに加え、今回は毅然とした凛々しさを演奏の端々で感じた。以前は内省的なタッチや透徹な響き、やや控えめな姿勢が全面に出ていた。録音だけではアーティストの変化には気づきにくいので、やはりエアチェックは重要だ。ヘルムヒェンは着実に次のステージへ進んでいる!


そういえば1歳になる娘はクララちゃんという名前らしい。
もしかしてクララ・シューマンからとったのかな^^




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Neglected masterpiece [音楽]

演奏機会に恵まれない隠れた名作のことを、ヴェルザー=メストは”neglected masterpiece”と呼んでいる。去年リンカーンセンターでセンセーションを巻き起こしたR.シュトラウスのダフネをはじめ、今シーズンのブルックナーの交響曲第6番やショスタコーヴィチ交響曲第4番もその部類に入るようだ。


先週の木曜と金曜の定期演奏会でショスタコーヴィチの4番とアブラハムセンの”Let me tell you”(アメリカ初演)を取り上げた後、日曜日にカーネギーホールで同演目の演奏会があった。昨日の深夜、公演の様子が知りたくてインターネットを覗いてみると、あちこちで絶賛の嵐になっていた。Yay!!! 美しい音楽と同じくらい、美しい言葉には身体を癒す力があると思う。ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラを賞賛する文章を読むたびに、クタクタに疲れて冷えきっていた身体の温度が上がってゆくのだ。実際に聞いたわけではないのに、1日経ってもまだ興奮しているようなので、私はよほどこの方たちが好きなのだろう^^


NYTのアンソニー・トマシーニ氏によるレビュー
(ショスタコーヴィチについて)
Sunday’s program also offered an outstanding performance of Shostakovich’s formidable Fourth Symphony.

The music can seem rambling and excessive. But in this performance, rather than going all out to convey the brutal, grotesque, militaristic extremes of the music, Mr. Welser-Möst and his great orchestra just played the piece to the hilt. In this incisive, brilliant performance, the symphony seemed a purposeful entity, however shocking and excessive.


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(お茶とケーキをお供に、演奏会評を読むのは最近のささやかな楽しみの一つです。)



2012年ごろからヴェルザー=メストはクリーヴランドでショスタコーヴィチを意欲的に取り上げ、これまでに5、6、7、8、10番を指揮している。今回の4番は放送予定に入っていないので当分聞けないと思うが、近い将来IDAGIOで聞けるようになるのではないかと考えている。ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラはIDAGIOのローンチメンバーであり、ベートーヴェンとショスタコーヴィチは我々の看板だと言っているのだから期待大ではないかしら。


私にとってはショスタコーヴィチはまだまだ難解な作曲家の一人であり、有名な5番に加えようやく6番を楽しめるようになってきたばかりである。2012年のカーネギーホールでの6番を久しぶりに聴いてみた。クリーヴランドの合奏能力と相まって、諧謔的な第3楽章にはいつも圧倒される。


今週末から毎年恒例のマイアミレジデンシーが始まる。今年は10周年の節目を迎え、演目も豪華だ。
”Neglected masterpiece”ではないかもしれないが、演奏機会の少ないチャイコフスキーの交響曲第1番やプロコフィエフの交響曲第3番が曲目に入っている。すべてライヴ中継してくれるので今から楽しみだ。アンスネスさんが久しぶりにソリストとして登場し、シューマンのピアノ協奏曲を弾く。5年前はエマール先生がマイアミでシューマンを弾いてくれた。最近はシューマンのコンチェルトといえば、ヘルムヒェンとピエモンテージくんの演奏ばかり聴いていたので、中堅のアンスネスさんのピアノに期待を膨らませている。


来週はNHKFMでクリーヴランドオーケストラ特集もあるのでお見逃しなく!




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